★★★★★

◆キル・ビル Vol.1(原題:KILL BILL Vol.1)
■監督・脚本/クエンティン・タランティーノ ■アニメーション/プロダクションI.G
■出演/ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、デヴィッド・キャラダイン、千葉真一、栗山千明他

 一人の女が永い眠りから奇跡的に目覚める。彼女は通称「ザ・ブライド」(ユマ・サーマン)。世界を震撼させた毒ヘビ暗殺団(DiVAS)で最強と呼ばれた女エージェントだった彼女は、4年前、足を洗って幸せを掴むため教会で結婚式を挙げようとしていた。そこへかつての仲間であったDiVASの面々とボスであるビル(デヴィッド・キャラダイン)が現れ、参列者すべてを惨殺し、ブライドの頭を撃ち抜いた。こうして彼女は友人も夫も、お腹の中の子もすべてを失った…。一命を取りとめたものの、4年もの間、昏睡状態に陥っていた彼女が目覚めた時、頭に浮かんだのは「復讐」の2文字だけだった。自分を不幸のどん底に突き落とした全ての人間を血祭りにあげるため、世界を股にかけたたった一人の壮絶な復讐の旅が始まる―。
 前作「ジャッキー・ブラウン」から6年ぶりとなる待望のQ.タランティーノ監督新作!楽しみにしすぎてあらゆる特番や書籍で情報を仕入れまくっていたので鑑賞前にすでに観終わったかのような感覚にすら陥ったが、とにかく期待以上の出来だった!何しろ女連中がもの凄くカッコイイ!!ユマVSクレイジー88〔オーレン・イシイ(ルーシー・リュー)の私設軍隊〕との大立ち回りシーンの過激さはもちろん、ルーシーが黒い着物で日本の親分どもに啖呵きるシーンなんて外国版極道の女たち(笑)予想以上に凄かったのは栗山千明のゴーゴーボールを使ったアクションシーン。実に扱い方が上手い!!相当訓練したと思われる。表情一つ変えない栗山嬢の演技で非情さが強調され、画面に緊張感を持たせてくれる。そしてもう一つ。何より最も感心したのはオーレン・イシイの過去をアニメで見せる手法。最初は「いくらタラQがI.Gプロダクションのアニメが好きだからって、いきなり一部のみアニメってめちゃめちゃ画面浮くだろ!!」とかなり不安だったが、これがもう見事としか言いようがない出来!!しっかり画面にとけ込んでるし、オーレンの顔にポタッポタッと滴り落ちる血のシーンや声にならない声をあげてしまう恐怖感の描写・表現力・技術力。素晴らしい!!!アニメを使うのはただの趣味だとばかり思っていたが、こんな技法で作品の世界観を広げてしまうタラQはやっぱり普通じゃない!その他、いきなり香港映画が始まったのかと思ったようなアホなオープニングやユマ&ルーシーの頑張ってる日本語(笑)、復讐心に火がつくと一々かかる曲(笑)、わざと一部モノクロで見せるシーン、北村一輝等日本人キャストの多用、布袋寅泰・梶芽衣子を起用したサウンド、数々の映画へのオマージュ、そしてタラ作品ではお馴染みの時間軸を組み替えながらの構成…とにかく見所満載!!最後のビルの一言で「えっ!!そうなの!?」と思った瞬間「続く」…。次作への繋ぎ方もウマイです…(-""-;)おかげでVol.2の展開が気になって仕方ない。作品冒頭でユマの名前の部分がなぜブライドではなく、xxxxになってるのか、その謎も明かされるのだろうか?
 劇中、日本刀持ったまま飛行機搭乗が可能な点や、あろうことか機内には日本刀ホルダーまで付いてるあたり、タラの日本への憧れというか理想が浮き彫りにされてる様で笑えるが、同時にここまで日本を愛してくれるアホな日本オタクも早々いないと思った(*^_^*)まさに世界一映画が好きな映画オタクのマニアック度全開のバイオレンスアクションムービー!! Vol.2も好きなモンを好きなように思いっきりヤッチマイナー!!
 最後に。本作は血しぶきの量が半端じゃなく、文字通り画面は血の海。日本ではR-15指定だが、米国ではR-17相当。過激バイオレンスムービーなのでその手の映画が苦手な方は要注意☆ちなみに審査の厳しい米国では映倫を通過するため、血糊はすべて黒で加工と一部編集されている為、日本版と米国版ではバージョンが異なる。タラQ監督曰く「日本版の方が出来が良いのさ(笑)」。

★★★★★

◆アバウト・シュミット(原題:ABOUT SCHMIDT)
■監督/アレクサンダー・ペイン ■脚本/アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
■出演/ジャック・ニコルソン、キャシー・ベイツ、ホープ・デイビス他

 一流会社に勤務していたウォーレン・シュミット(ジャック・ニコルソン)は66歳で定年を迎える。退職後、妻の急死・娘の結婚と、会社・妻・子供という人生をかけて築いた誇りと安らぎを失った時、彼は「自分の人生とは何だったのか?」と考える。誰にでも訪れる人生の転機・誰もが感じた事がある孤独・喪失感。だが人生にはそれらを一瞬で癒してくれるような出逢いは必ずあるはず―。
 定年退職を迎えたオジサンが主人公だからか、観客にも同年代らしきオジサマの姿が多く見られたが、流行のクール・ガイ主演の上辺だけがカッコイイ映画にしか興味のない若者よ。こういう映画こそが「名作」だ!!私は決して「オジサン世代」ではないが(笑)、本編では思わず「わかる!その気持ち!!」と納得・共感してしまうシーンも多々あり、笑いを堪えきれないほどおかしいシーンも満載!しかし、シュミットの「私は誰かの人生で何かの役にたったのか?」との問いに思わず自分の人生も重ねてみた時、彼の元に最高の贈り物が届いた。最後のそのワンシーンで、彼も私もぐしゃぐしゃに泣いていた。心暖まる素晴らしい作品!この映画はシュミット同様定年退職を迎えて久しい私の父や母にも是非観せたい!これからご覧になる方々はご両親と一緒に観られる事もオススメします(^_^)

★★★★★

◆ロード・オブ・ザ・リングー二つの塔ー (原題:THE LORD OF THE RINGSーTHE TWO TOWERSー)
■監督/ピーター・ジャクソン ■脚本/フィリッパ・ボウエン他 ■原作/J. R. R.トールキン
■出演/イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、リヴ・タイラー他

 ファンタジー大叙事詩「指輪物語」全3部作の第2部。邪悪な力を持った指輪を冥王サウロンの手に渡る前に滅びの山で捨てるため、ホビット・エルフ・人間・ドワーフ・魔法使いから9人の仲間が結成され旅に出る。第1部では仲間のうちの1人が命を落とし、魔法使いが戦いの末地底に落ち、2人のホビット族がオークにさらわれてしまう。本作では3つに分かれて旅を続ける仲間達のそれぞれが描かれる。
 前作公開から約1年、待ちに待った続編の公開。期待以上に面白かった!第2部は戦闘シーンが中心に描かれているが、とにかくスケールがでかい!!製作費340億円、撮影日数15ヶ月というのもダテじゃない。迫力満点で3時間という長さも気にならない。ゴラムやエントといった新しく登場するCGキャラクターも実に精巧で動きの一つ一つに感心が沸く。美形揃いのエルフ族も魅力的だが、個人的にお気に入りの人間・アラゴルンは本作でもオイシイとこ取りで非常にカッコ良かった(*^_^*)ぜひ2回は行きたい作品。完結編「王の帰還」への期待も高まる。(第1部の感想は「2002年劇場鑑賞作」参照)
◆第75回アカデミー賞【視覚効果賞・音響編集賞】受賞

★★★★

◆アイデンティティー(原題:IDENTITY)
■監督/ジェームズ・マンゴールド ■脚本/マイケル・クーニー
■出演/ジョン・キューザック、レイ・オリッタ、アマンダ・ピート、クレア・デュバル他
 記録的な豪雨。行き場を失った10人が、次々と集まるモーテル。夫婦と子供、女優と運転手(ジョン・キューザック)、娼婦、1組のカップル。そして移送中の囚人と刑事(レイ・オリッタ)。事故・殺人と、彼らは次々と命を失ってゆく。死体の傍らにはホテルの鍵が、10、9、8…とまるでカウントダウンするかのように置かれていく。さらに忽然と姿を消す死体に謎は深まる。そして浮かび上がるある共通点…。一方、ある精神科医が6人の連続殺人犯である患者との録音テープを聴いている。責任能力があると判断された彼には死刑が確定していたが、執行前夜再審理が行われる事になった。囚人は現在移送中だが、彼は本当に死刑に値するのか?2つのストーリーが絡みながら最後にひとつの謎で繋がるサイコミステリー。
 半年以上前にスカパーでダイジェストを見てから楽しみにしていて、忘れた頃にようやく公開となった。良くできた脚本だ。タイトルの意味を考え、ある程度の展開は読めたのだが、最初の方に「あれ…もしかしてコイツ…」と怪しい人物に着目したものの、その後現れたもっと怪しい人物にすっかり固執してしまい、(実際ソイツも予想通りの正体だったのだが…)最後の最後にすっかり騙されてしまった。様々な10人がどういった経路で繋がり、モーテルに集まってくるのか、その一つ一つのエピソードの見せ方も面白い。最近のサイコミステリーにしては上々の出来だと思う。ただ事故シーンなど、結構衝撃的なシーンになっているので心臓の弱い方にはお勧め出来ないかも…(^_^;)ちなみにこの根底にあるあるテーマに関しての有名な著書を(パンフレットにも記載されている)読んだ事があるのだが、このタイトルを言うとわかる人にはわかってしまうのでここでは伏せておく(笑)

★★★★

◆S.W.A.T.(原題:S.W.A.T.)
■監督/クラーク・ジョンソン ■脚本/デビッド・アヤー、デビッド・マッケナ
■出演/サミュエル・L・ジャクソン、コリン・ファレル、ミシェル・ロドリゲス、LL・クール・J他
 悪名高い麻薬王が逮捕され、多くの報道陣を前に彼は「俺を逃がしてくれた奴に1億ドル払う」と宣言する。ロスからFBIの元へ護送するために選ばれたのは、伝説のS.W.A.T.指揮官のホンドー(サミュエル・L・ジャクソン)の元、過酷な訓練に耐え、新たに選ばれた5人の精鋭S.W.A.T.隊員。だが、彼らを待ち受けていたのは成功報酬を狙ったロス市民達、警察を辞めさせられた事を恨んでいた元S.W.A.T.隊員。そして最も信頼すべきS.W.A.T.隊員の仲間による裏切りだった…。
 S.W.A.T.とはロス市警に4年以上在籍し、優秀な警察官として勤務していることが最低条件。入隊志願者は2週間にわたる厳しい選抜試験を受けるが、100名のうち合格できるのは2〜3名というから驚き。入隊後も厳しい訓練や試験の繰り返し。私達がTVでたまに見る事が出来るS.W.A.T.隊員はエリートの集まりなんだなぁと妙に感心(笑)劇中では「スピード」「レオン」「交渉人」等にも出演する機会の多いS.W.A.T.だが、彼らを主軸に描かれた作品は意外に少ない。S.W.A.T.の他、SEALSといった特殊部隊にも興味があり、なおかつ本作で唯一の女性S.W.A.T.隊員役を演じているミシェル・ロドリゲスのFANでもある私は予想していたよりもずっと楽しむ事が出来た映画だった(*^_^*)もう少し彼女の活躍シーンが多ければもっと良かったんだが(^_^;)次々と襲ってくる困難を彼らがどう切り抜けて行くのか?「S.W.A.T.」という仕事に興味を持ったという方々も、是非迫力の大画面で楽しんで来て頂きたい。ちなみに実在するロス市警S.W.A.T.隊員は現在警察官約60人、巡査部長6人、警部補1人から成り、まだ一度も人質の命を失ったことはないという。

★★★★

◆パイレーツ・オブ・カリビアン〜呪われた海賊たち〜
(原題:PIRATES OF THE CARIBBEANーTHE CURSE OF THE BLACK PEARL)
■監督/ゴア・ヴァービンスキー ■脚本/テッド・エリオット、テリー・ロッシオ
■出演/ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、ジェフリー・ラッシュ他
 カリブ海の港町に住む総督の令嬢エリザベスは、子供の頃海に漂流していた孤児の少年が身に付けていた黄金のメダルを今でも大切にしていた。ある日港町がバルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)率いる海賊達に襲われ、成長したウィル(オーランド・ブルーム)は剣を手に勇敢に闘うが、何故か海賊達は殺しても甦ってくる。彼らの目的は略奪ではなくエリザベス(キーラ・ナイトレイ)が持つ黄金のメダルだった。彼女をさらったバルボッサを追う為、同じ頃港町に辿り着いた一匹狼の海賊、ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)がバルボッサの秘密を知る唯一の人物だと知ったウィルは彼と行動を共にする。黄金のメダルと海賊達に隠された秘密とは―?
 最初に断っておくと、本来ならば★★か★★★の出来である。ストーリー自体は男が好きな女を助けに行くどうって事ない救出劇。しかもその青年の存在感の薄い事…!これで主人公とは信じがたい。ではなぜこんなにも高得点かと言うと、「ジャック・スパロウ」の一言に尽きる。今までジョニー・デップは特に意識した事もない俳優だったが、本作での彼は今年観た映画俳優No.1に輝くほどのカッコ良さ!!!指先まで行き渡るほどのファニーでひょうひょうとしたその演技も本作での良いスパイスになっている。しかももの凄く海賊の扮装が似合っている!!もう彼の登場シーンからして釘付けだ。こんな船長だったらぜひ海賊の仲間に入れてもらいたい(*^_^*)本作に注目していたのは昨今では珍しく「海賊」という題材に取り組んでいる点、出演者の豪華さ、「アルマゲドン」や「パールハーバー」などを生み出したジェリー・ブラッカイマー製作である点、脅威の視覚効果ILMが製作に携わってる点等、期待要素は多々あったのだが、すべてジャック・スパロウに持ってかれた感じ。ポスター欲しい…(>_<)ちなみにエンドロールの後にもオマケ映像があるのでお見逃しなく。

★★★★

◆レッド・ドラゴン(原題:RED DRAGON)
■監督/ブレット・ラトナー ■原作/トマス・ハリス
■出演/アンソニー・ホプキンス、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ他

 サスペンス映画の金字塔とも呼ばれた「羊たちの沈黙」を2作目とし、その後を描いた3作目「ハンニバル」を経て製作されたレクターシリーズ第1作目にあたる作品。2組の家族を惨殺する事件が起こるが常識を越えた手口に捜査は難航。犯人を捕らえる為、FBIは「カニバル(食人鬼)・ハンニバル」と呼ばれた殺人鬼ハンニバル・レクターとの事件で精神的に傷つき引退していた元FBI捜査官でプロファイラーのグレアム(エドワード・ノートン)に捜査の依頼をする。
 映画界ではカリスマ的な悪役として知られるレクター博士。本作でもその不気味さとしたたかさは健在。彼にある種憧れを抱き凶行に及んだレッド・ドラゴンと名乗る男は確かに残酷極まりないが、過去に受けた傷に苦しむ姿や唯一心を許せる女性とのひとときを描くシーンは、観客に憎しみだけで彼を見させない脚本に仕上がっている。このシリーズは単なる猟奇殺人を描いた作品ではなく、心理的に深く読める作品なので好きだ。レッド・ドラゴンの苦悩にはヒッチコックの名作「サイコ」的な要素も伺える。それにしても…やはり英国人は悪役が多いな(苦)個人的にはH・カイテルの出演が嬉しかった(*^_^*)

★★★
◆007ーダイ アナザー デイ (原題:007ーDIE ANOTHER DAY)
■監督/リー・タマホリ ■脚本/ニール・パーヴィス&ロバート・ウェイド
■出演/ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー、トビー・スティーヴンス他

 正体不明の裏切り者により、極秘任務が失敗に終わるジェームズ・ボンド(ピアース・ブロスナン)。その結果、14ヶ月もの長期にわたる監禁と拷問を強いられるが、重要人物との人質交換でようやく解放される。だが、彼に待っていたのは諜報部員としての資格剥奪だった―。
 007シリーズの第20作目であり、40周年記念作品でもある。とにかく本作はアクションシーンが凄い!久々に007シリーズで「面白い!」と思った。毎回様々なアイデアで観客を楽しませてくれる「Q」の秘密兵器も、ついにここまできたか!と思わずうなる「見えない車」。その魅力はぜひ自らの目でご覧頂きたい。ボンドの仕掛けた爆弾による爆風でダイヤモンドが顔に埋まったザオ(リック・ユーン)はかなり不気味で何となく目が離せない。そして今回のボンドガールは黒人として歴代初のアカデミー主演女優賞を受賞した経験を持つハル・ベリー。主題歌を歌うのはマドンナ。マドンナは作品中にもカメオ出演しているので興味がある方は探してみては?すぐわかるはず(笑)ちなみに今回の主題歌PVはかなり私好み(*^_^*)

★★★
◆ボーン・アイデンティティー(原題:THE BOURNE IDENTITY)
■監督/ダグ・リーマン ■脚本/ウィリアム・ブレイク・ヘロン
■出演/マット・デイモン、フランカ・ポテンテ、クリス・クーパー他
 記憶を失った男(マット・デイモン)が嵐の海でイタリアの漁船に救われる。身元も経歴もわからない彼だが、強靱な肉体と戦うすべを身につけていた。唯一の手がかりを元にチューリッヒ銀行を訪れた彼がそこで見た物は6カ国のパスポートと6つの名前、そして莫大な大金と銃。謎に包まれた彼の元に次々と現れる暗殺者達。一体彼は何者なのか?
 イタリア・スイス・パリと各国を股にかけたスパイ・アクション。主演のマット・デイモンが過去演じてきた役柄はわりと穏やかで好青年的な印象のものが多かったので、本作のように目にも止まらぬスピードで武術を駆使し、敵を撃退する彼が何だかいつもより格好良く見えた。最近のスパイ映画にありがちな、重要な場面で都合良く車が登場するようなものと違って、頭と体だけを使いピンチを乗り越えていく彼は逞しい。派手なスポーツカーではなく、ミニ・クーパーでカーチェイスするシーンもなかなか見物である。

★★★
◆神に選ばれし無敵の男(原題:INVINCIBLE)
■監督・脚本/ヴェルナー・ヘルツォーク ■音楽/ハンス・ジマー、クラウス・バデルト
■出演/ティム・ロス、ヨウコ・アホラ、アンナ・ゴウラリ、ヤコブ・ウェイン他
 ポーランド東部の小さな町で鍛冶屋を営むポーランド系ユダヤ人のジシェ(ヨウコ・アホラ)は家族想いで実直な青年。勉強好きな9歳の弟との食事中、ユダヤ人であることを揶揄され、店で乱闘騒ぎを起こしてしまう。弁償するお金がなかったジシェは、怪力という特技を生かして世界一の力持ちに勝てば賞金が得られると言うショーに出演する。それを見た一人の男がその怪力に興味を示しジシェをスカウトする。ベルリンに赴いた彼の雇い主は、読心術や催眠術などの「宇宙の予言」でヒトラー政権獲得を予言し、地位や名声を欲しいままにしている男、ハヌッセン(ティム・ロス)だった。
 ジシェもハヌッセンも実在した人物で、ハヌッセンを題材とした映画は他にもあるが、この作品ではジシェにスポットを当てている。面白いのはそのキャスティング。ジシェ役のヨウコ・アホラは重量上げや石上げ、車運びなどの「最強男」を競う数々の大会で何度も優勝経験を持つ本物の力持ち。一方、彼が憧れを抱くピアニスト役のアンナ・ゴウラリも幼い頃から神童と呼ばれ、数々のコンテストで優勝経験を持つロシア出身の世界的に有名な本物のピアニスト。二人とも映画出演は初めてという素人だが不自然さはまったくない。そこに英国人俳優の中でも未だインディペンデント系映画への出演を好み、個性派としても有名なティム・ロスを起用したキャスティングの妙か、作品に漂う何とも言えない哀愁が上質さを醸しだす。ティム・ロス目当てで鑑賞した作品だったが、心に残る良い映画だった。

★★★
◆ターミネーター3(原題:TERMINATOR3ーRISE OF THE MACHINES)
■監督/ジョナサン・モストゥ ■脚本/ジョン・ブランケート、マイケル・フェリス
■出演/アーノルド・シュワルツエネッガー、ニック・スタール、クレア・デーンズ他
 コンピューター・システム「スカイネット」が支配する未来。スカイネットは人類抵抗軍のリーダーであるジョン・コナーを抹殺するため、彼が生まれる前に母親となるサラを抹殺しようと過去にターミネーターを送り込む(ターミネーター1)。生き残ったサラと10歳になった息子・ジョンの前に再び殺戮マシーンT-1000が送り込まれるが、ジョン達を守る為に現れた旧型ターミネーターT-800(アーノルド・シュワルツエネッガー)の尊い犠牲で世界は滅亡から救われ、「審判の日」は避けられた(ターミネーター2)。だが、青年となったジョンの前に再び未来から最新型液体金属ターミネーターT-X(クリスタナ・ローケン)が送られてくる。彼女のターゲットは、将来ジョン(ニック・スタール)の部下となる者達の抹殺。そこへジョン達を救う為に現れたのはあのT-800だった―。
 前作「ターミネーター2」より12年、待望のシリーズ3作目。シリーズ物で2作目が1作目に負けず劣らず面白いという数少ない映画の一つだっただけに、3作目への期待も高かった。ストーリーは全体的に大雑把になり、前作にあった人間味が本作ではかなり浅くなってしまった感は否めない。だが、さすがにアクションシーンは良く出来ている。文字通り「血も涙もない」T-Xの執拗な攻撃としぶとさが観客を充分に惹き付けてくれる。最後の結末には賛否両論ありそう。ちなみにジョン役はシリーズ2作目から引き続き、エドワード・ファーロングが演じる予定だったが、ドラッグ中毒として警察のご厄介になってしまった事もあり、残念ながら降板。クランク・インの1ヶ月前に急遽ニック・スタールが抜擢された。

★★★
◆デッドコースター(原題:FINAL DESTINATION 2)
■監督/デヴィッド・エリス ■脚本/J・マッキー・グルーバー、エリック・ブレス
■出演/A・J・クック、アリ・ラーター、マイケル・ランデス、トニー・トッド他
 ハイウェイで死亡者8名を出す連鎖クラッシュの大事故。その事故を「予知夢」で見たキンバリー(A・J・クック)は、間一髪のところで死を免れる。だが元々は死ぬ運命だった8人の生存者たち。「死」は決してその運命を変えることは出来ない。生存者達を待っていたものは想像を絶する死の審判だった―。
 邦題は「デッド・コースター」となっているが、原題にある通り「ファイナル・デスティネーション」のパート2にあたる作品。前作で唯一の生存者であるクレア(アリ・ラーター)も出演、前作で死を免れる事が出来なかった人物達のエピソードが多少絡んでくる為、本作を観る前に前作を観ておいた方が得策。R-15指定となっている通り、確かに死ぬシーンの残酷さはなかなかリアルなので、こういったシーンに弱い方は見ない方が無難(笑)しかし良くできている。「死ぬか生きるか」でハラハラする映画は多々あると思うが、「どうやって死ぬか」でハラハラさせられる作品は数少ないのでは?後半多少説明じみた展開になるが、個人的には嫌いじゃない作品。

★★★
◆チャーリーズ・エンジェルーフルスロットル(原題:CHARLIE'S ANGELSーFULL THROTTLE)
■監督/McG ■脚本/ジョン・オーガスト
■出演/キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー、デミ・ムーア他
 お茶目なナタリー(キャメロン・ディアス)、タフなディラン(ドリュー・バリモア)、クールなアレックス(ルーシー・リュー)。地上最強のエージェントである3人の美女達の新たなミッションは、連邦証人保護プログラムにより匿われている最重要証人のリストにアクセスする為の二つの指輪を取り戻すことだった。
 前作よりさらに過激なアクションシーンにコスプレ度もUPで娯楽映画としては楽しませてくれる。やはり強くてカッコイイ女には憧れる(^_^)ストーリーは平凡で浅いが、個性豊かな3人のキャラクターが色々と愉しませてくれるので飽きずに観ることが出来る。ちなみに私の好きなエージェントはアレックス。気に入った女優は何故か黒髪が多い。大好きな監督Q・タランティーノの新作「KILL BILL」にも出演予定。活躍に期待大だ。それにしても久々に銀幕で見たデミ・ムーア。整形に4800万円かけてるだけあって40歳には見えないNICE BODYだった(笑)

★★★
◆シカゴ(原題:CHICAGO)
■監督/ロブ・マーショル ■脚本/ビル・コンドン
■出演/レニー・セルヴィガー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、リチャード・ギア他
 スターを夢見るロキシー(レニー・セルヴィガー)は愛人を殺して監獄送りとなるが、そこで夫と妹を殺して監獄送りとなっていた憧れのスター、ヴェルマ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)と偶然出会う。ロキシーは弁護士・ビリー(リチャード・ギア)の入れ知恵でマスコミを利用し、ヴェルマを凌ぐ人気を手に入れる。
 本年度アカデミー賞作品賞・助演女優賞(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)等、最多6部門受賞のミュージカル映画。当然期待も高まるが個人的には「ムーラン・ルージュ」の方が好み。ドラマシーンから歌への入り方が唐突すぎて見ていて集中力に欠けるような気がする。ただキャサリン・ゼタ=ジョーンズの歌・ダンスシーンは最高にカッコイイ!元々ミュージカル系の舞台出身者だったそうで、歌唱力は抜群。パワフルな歌声とダンスに思わず魅入ってしまったほど。彼女のステージシーンがもっと多かったら★★★★だった。
◆第75回アカデミー賞【作品賞・助演女優賞(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)・美術賞・編集賞・衣裳デザイン賞・音響賞】受賞

★★★
◆ボイス
■監督/アン・ビョンギ ■脚本/アン・ビョンギ、イ・ユジン
■出演/ハ・ジウォン、キム・ユミ、チェ・ウジェ、チョ・ジヨン、ウン・ソウ他
 ジャーナリストのジウォン(ハ・ジウォン)は援交記事のせいで脅迫電話に悩まされていた。心配した親友のホジュン(キム・ユミ)は自分の別宅を隠れ家に提供し、携帯番号を変えるよう勧める。だがまだ誰も知らないはずの携帯に奇妙な電話がかかるようになり、ある日偶然その電話に出てしまったホジュンの娘・ヨンジュ(ウン・ソウ)は不気味なノイズに絶叫し、その日を境に異常な行動を取り始める。調査を開始したジウォンはやがて恐ろしい事実を知る。
 ショッキングすぎる為予告編が放映禁止になったと噂の韓国産ホラームービー。何が怖いって、内容よりヨンジュ役のウン・ソウの怪演がもの凄い!「この子、本当に子供か!?」というくらいもの凄い演技なのだ(汗)「エクソシスト」のリンダ・ブレアより怖いんじゃないだろうか?夢に出そう(^_^;)全然関係ないがホジュン役のキム・ユミが木村佳乃に見えて仕方なかった。似てる…(笑)

★★★
◆戦場のピアニスト(原題:THE PIANIST)
■監督/ロマン・ポランスキー ■脚本/ロナルド・ハーウッド
■出演/エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、エミリア・フォックス他
 ナチスドイツがポーランドに侵攻した頃、ラジオ局で演奏するピアニストだったユダヤ人のシュピルマン(エイドリアン・ブロディ)はワルシャワ陥落後、ゲットーという居住区に移され、飢えや無差別殺人に怯える暮らしを強いられる。友人の力でたった一人だけ収容所行きを免れる事が出来たシュピルマンだが、その後の彼に待っていたものは飢えと恐怖と孤独の日々。心の中で奏でる音楽だけが唯一彼の希望だった。
 実話とはいえ、映像が残酷でリアルすぎる。人間を虫けらのように平気で惨殺するナチスドイツ軍。出来ることなら射殺シーンは音のみで表現して欲しかった。「どうやって殺されたのか。どこを撃たれたのか。本当に当たって死んだのか」等、観る側に少しでも想像する余裕を与えるからだ。ダイレクトに見せられると、人間の想像力はそこで止まってしまう。その点だけが残念だったが、暗闇の中、一筋の光に照らされたピアノで4分に及んだショパンの演奏シーンは素晴らしく美しかった。代役なしで演奏シーンをこなし、役作りの為に約15キロの減量をしたというエイドリアン・ブロディの姿勢にも好感。ちなみに私の観ていた映画館では、上映後客席から実際に拍手が起こっていた。本年度アカデミー賞にもノミネートされているが、監督のポランスキーは約25年前、強姦罪で処されてから一度も米国に足を踏み入れていない為、授賞式に出席する事はないと思われる。
◆第75回アカデミー賞【監督賞・主演男優賞(エイドリアン・ブロディ)・脚色賞・編集賞・衣裳デザイン賞・音響賞】受賞

★★★
◆ONE PIECEーデッドエンドの冒険ー
■監督/宇田鋼之介 ■原作/尾田栄一郎 ■キャラクターデザイン&作画監督/小泉昇
■声の出演/ルフィ(田中真弓)、ゾロ(中井和哉)、サンジ(平田広明)、ウソップ(山口勝平)、チョッパー(大谷育江)、ナミ(岡村明美)、ロビン(山口由里子)他
 出版史上最高の初版部数記録更新を続け、TVアニメも常に高視聴率で大ヒット中の海賊漫画「ONE PIECE」初の単独長編アニメ。小さな港町に到着したルフィ海賊団は、冒険の匂いと莫大な賞金に誘われ、大海賊が集う世紀のデッドエンドレースにエントリー、ここにルール無用・条件過酷な命懸けのサバイバルレースがスタートする。
 今年もやってきました!劇場版ワンピ!!(笑)1にサンジ、2にサンジ…な私はサンジしか目に入らない勢いで観てましたが、相変わらずルフィの台詞には感動、ウソップに笑い、チョッパーの可愛さに萌え、長編だけあって見所は満載(*^_^*)アクションシーンもスピード感あふれ、大迫力!欲言えばサンジの戦闘シーンがもっと観たかった(>_<)それにしても映画観るのにこんなに並んだのは初めてだってくらい混んでた(-_-;)2回鑑賞(笑)

★★★
◆イナフ(原題:ENOUGH)
■監督/マイケル・アプテッド ■脚本/ニコラス・カザン
■出演/ジェニファー・ロペス、ビリー・キャンベル、ジュリエット・ルイス他
 優しく裕福なミッチ(ビリー・キャンベル)と結婚し、娘も産まれ、何不自由ない幸せな結婚生活を送っていた元ウェイトレスのスリム(ジェニファー・ロペス)。だがある日突然夫が変貌を遂げ、怖ろしい一面を露わにする。幾ら逃げても執拗に迫ってくる夫の愛に対抗するためスリムが選んだ道は…。
 日本でも近年社会問題として取り上げられる事が多くなったDV(ドメスティック・バイオエレンス)を題材にした映画。本来は男より女の方が頭がきれる為、口では勝てない男は先に手が出るタイプが多いと聞いた事があるが、何にせよすぐ逆上し、暴力にもの言わせるようなタイプの男は最低だ。娘の為、自分の為、闘う母・スリムはカッコ良かった。私の大好きな女優、J・ルイスはスリムの友人役を好演(*^_^*)

★★★
◆壬生義士伝
■監督/滝田洋二郎 ■原作/浅田次郎 ■音楽/久石譲
■出演/中井貴一、佐藤浩市、村田雄浩、三宅裕司、夏川結衣、中谷美紀他
 幕末動乱期、京都市中警護の名目で結成された新撰組隊士・吉村貫一郎(中井貴一)。明日をも知れず、名誉を重んじ死をも恐れない新撰組隊士の中で死にたくないと熱望し、金銭を得るために闘った。すべては故郷の妻と子の為に―。
 新撰組の大FANである私にとっては待望の映画化。「滅びの美学」とも言われた新撰組の生き方はひたすら格好良く正直憧れだ。本作品では特に三番隊組長・斉藤一(佐藤浩市)の存在感が大きく、とにかくカッコイイ!!(>_<)南部なまりでお国自慢に家族自慢。田舎臭く、「守銭奴」と呼ばれた吉村とは正反対の斉藤だが、やがて二人の間には固い友情が生まれる。新撰組が滅びて久しい明治32年、孫を連れて訪れた診療所で偶然吉村の親族に会う斉藤が過去を思い出すように語られる構成がまた良い。何よりその時代まであの新撰組隊士が生き残っていたんだという事実にも感慨深いものを感じる。「死にたくないから斬っている」という吉村に対し、「いつ死んでもかまわない。誰も斬ってくれる奴がいないから生きている」と言っていた斉藤の方が生き残り、彼を語る。何とも皮肉だ。殺陣シーンはスピード感あふれ、久石の音楽も実に情感豊かで良い。ただ、黒地に赤のだんだら模様はどうも違和感がある。第一暗い。やはり新撰組の羽織は浅黄色でなければ…。ちなみに同作品は昨年正月に10時間ドラマとしてTVで放映されたが、こちらも素晴らしい出来でとにかく泣けた。今回はキャストを代えての映画化。観た後は無性に南部・盛岡へ行きたくなり、ついつい「おもさげながんす」と言いたくなってしまう(笑)
◆第27回日本アカデミー賞【作品賞・主演男優賞(中井貴一)・助演男優賞(佐藤浩市)】受賞

★★★
◆マトリックスーリローデッドー(原題:MATRIXーRELOADEDー)
■監督・脚本/ラリー&アンディー・ウォシャウスキー
■出演/キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス他
 マトリックス3部作の第2部。地球上に唯一残された人類の都市・ザイオンの存在場所が、ついに人類滅亡をプログラムされた人工知能・センティネルの知るところとなった。25万のセンティネルがザイオンを侵略するまで残された時間はあと72時間。予言者の予言通りならば救世主として目覚めたネオ(キアヌ・リーブス)がマシンとの戦いに決着をつけるはず…。だがネオ自身は迷っていた。「自分は本当に人類を救う事が出来るのか?」
 一言で言うならまるでアニメ。もしくはゲームを見ているかのような感覚。あらゆるシーンが「超越」しすぎててここまで来ると何となくもう…いいやって感じ(苦)視覚的な部分に拘りすぎ。ストーリーはあってないようなもの。鑑賞者のほとんどが「格好良かった」「凄かった」というコメントしかないのは話がまるでわかってない証拠。「どこが良かった?」と聞かれて具体的に設定や背景について述べられる人がどれだけいるのか…。私にとっては滑稽に見えるスーパーマン化したキアヌ。それでも観る人によってはまさに「救世主」ばりのヒーローに見えるのだろう。ゲーム好きな人ならこの世界観にハマるのかも?私的に興味が沸いたのはリンキン・マンソン・レイジ・P.O.D.といった豪華アーティスト陣の音楽提供と、ツインズという二人組が着ていたシルバーロングコートのみ(笑)ちなみに完結編の第3部「マトリックス-レボリューションズ」は11/22公開予定。第3部の展開が気になる方は「リローデッド」のエンドロールがすべて終わってからも席を立たないように。

★★★
◆英雄ーHEROー(原題:HERO)
■監督/チャン・イーモウ ■脚本/リー・フェン、チャン・イーモウ、ワン・ピン
■出演/ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー、ドニー・イェン他
 のちに始皇帝と呼ばれることになる秦王(チェン・ダオミン)は、絶え間なく命を狙ってくる暗殺者達を避けるため、100歩以内には誰も近づけようとしなかった。ある日、無名(ジェット・リー)と名乗る一人の男が秦王への謁見を許される。彼は趙国の三代刺客を倒したと言う。長空(ドニー・イェン)を倒せば20歩、残剣(トニー・レオン)と飛雪(マギー・チャン)を倒せば10歩まで秦王に近づける。「3000人でもかなわなかった刺客達を本当にたった一人で?」と問う秦王に、無名は闘いのすべてを語った。だが、秦王は「お前は嘘をついている」と指摘。それを聞いた無名が表情を変えることもなく語りだしたのはまったく別の真実の物語だった…。
 中国映画はほとんど観ないが、これは色彩に惚れた。シーンによって赤や青・緑・白等、次々と幻想的な世界を映し出していく。衣裳は「御法度」を手がけた日本でも有名なワダエミ作。ピーター・グリーナウェイ監督作の「コックと泥棒、その妻と愛人」で衣裳担当だったゴルチェもやはり同じようにシーンによって出演者すべての衣裳の色を統一するなど、美しい映像を作り出す事に成功したが、本作ではCGやワイヤーアクションにより、衣裳の動きにもさらに幅が広がり、実に色鮮やかで美しい世界を堪能させてくれる。アクションシーンはさすが中国。とにかく派手でスケールがデカイ。砂漠に現れる秦王の大軍隊は実際に中国軍の兵士が訓練を積んでエキストラ出演していたとか…圧巻である。

★★★
◆閉ざされた森(原題:BASIC)
■監督/ジョン・マクティアナン ■脚本/ジェームス・ヴァンダービルト
■出演/ジョン・トラボルタ、コニー・ニールセン、サミュエル・L・ジャクソン他
 パナマの森林地帯。ハリケーンによる風雨の中、特殊訓練に参加した7人のレンジャー部隊が消息を絶つ。17時間後生還した隊員2名は、調査にあたった女性大尉のオズボーン(コニー・ニールセン)と、元レンジャー隊員のハーディ(ジョン・トラボルタ)に、訓練教官のウエスト軍曹(サミュエル・L・ジャクソン)を含めた4名が不可解な死を遂げたと告げる。一体そこで何が起こったのか?浮かんでは覆される真実…二転三転するストーリー…混乱と困惑のシンクロ・サスペンス。
 「10分に一度罠が仕掛けられている」「驚愕のラスト」という煽り文句にすっかり乗せられてしまった感のある映画。確かにラストは「…え?」という内容ではあったがそれも前宣伝で「二転三転する」と聞かされていたため、「どうせこの話も嘘なんでしょ?」みたいな卑屈な見方になってしまう(-_-;)それに事件が暴風雨の密林の中で起こった事という設定のため、画面はやたら暗いし、迷彩服にヘルメットといった只ですら見分けの付きにくい恰好をした隊員がごちゃごちゃと出てくるため、雑然としてて何が何だかわからないシーンも多々あるのだ。限りなく★★に近いと言っても良いかも…。ちなみに「覆される証言」といった構成はつい先日鑑賞した「英雄」と被るものがあった。

★★
◆BAD BOYS 2 BAD(原題:BAD BOYS 2)
■監督/マイケル・ベイ ■製作/ジェリー・ブラッカイマー
■出演/ウィル・スミス、マーティン・ローレンス、ガブリエル・ユニオン他
 マイアミ警察の敏腕コンピ「BAD BOYS」のマイク(ウィル・スミス)&マーカス(マーティン・ローレンス)は、エスカレートする麻薬密輸入撲滅の為に結成された特捜チーム「TNT」に任命される。二人の任務は東海岸最大の麻薬王タピアの密輸ルートを解明すること。ところが「BAD BOYS」の手にかかると、極秘捜査はいつの間にか、市街でのカーチェイスや銃撃戦へ発展、そして遂にマイアミの街は戦場と化す。前作「BAD BOYS」の続編。
 鑑賞予定にはなかったが、偶然知り合いから試写会の券を入手できたので鑑賞。前作「BAD BOYS」を観たのはかなり昔だがその時の記憶ではかなり笑えたのに対して、本作はさほどでもなかった。ココで笑わせたいんだろうなぁ〜という下ネタトークも普通に聞き流してしまう程度。後半マーカスがラリってるシーンにはちょっと笑えたが(笑)カーチェイスシーンはまあまあだと思う。マイクが乗ってたフェラーリのマラネロを始め、マスタング・トランザム・アストロ・コルベット等が登場し、見事に破壊される。マニアには興奮&驚愕シーンの連続なのかも?

★★
◆フォーンブース(原題:PHONE BOOTH)
■監督/ジョエル・シューマカー ■脚本/ラリー・コーエン
■出演/コリン・ファレル、フォレスト・ウィティカー、ケイティ・ホームズ他
 ニューヨーク・タイムズスクエア。携帯電話片手に街を練り歩くスチュ(コリン・ファレル)は、自称一流のパブリシスト。いつものように口八兆でクライアントとの商談をまとめたスチュは、携帯をしまい公衆電話に入った。電話の相手は浮気の相手でもある売出し中の女優パメラ(ケイティ・ホームズ)。電話を切り、公衆電話から出ようとした瞬間ベルが鳴る。思わず電話に出てしまうスチュ。その耳に不気味な声が…「電話を切ったら殺す」。それは苛酷なゲームの始まりだった―。
 電話ボックスという狭い空間の中だけで展開する作品という発想はなかなかユニークだと思う。ニューヨークという大都会のど真ん中にある隔離された狭い空間。その対比が面白いのだ。姿の見えない相手に命を狙われる主人公の緊張感も伝わってくるが、犯人像が短絡的すぎる。主人公を追いつめていく要因が冷酷な殺人者たる者にしては弱い。最後の展開もありきたり。何より本作で最も落胆したのは白背景に白文字で入れられた字幕。何て書いてあるのかまったく読めない箇所があまりにも多かった。製作者側の落ち度だとしか言いようがない。

★★
◆恋は邪魔者(原題:DOWN WITH LOVE)
■監督/ペイトン・リード ■脚本/イヴ・アラート、デニス・ドレイク
■出演/ユアン・マクレガー、レニー・ゼルウィガー、デヴィッド・ハイド・ピアース他
 1962年ニューヨーク。新進女流作家バーバラ・ノヴァック(レニー・ゼルウィガー)が書いた本「恋は邪魔者」が世界中の女性達の間で大ブレイク!この本のせいでモテなくなってしまった超プレイボーイのジャーナリスト、キャッチャー・ブロック(ユアン・マクレガー)は、彼女の主張が間違っていることを照明するため「バーバラを絶対落としてみせる!」と恋の罠を仕掛けることに…。
 正直こういったテーマの映画は好みじゃないのでユアンが出演していなければ100%観に行かなかった作品。確かにところどころ笑える要素はあるんだけど…。「ムーラン・ルージュ」で素晴らしい歌声を披露してくれたユアンと、「シカゴ」で歌唱力を鍛えたレニーのミュージカル・シーンがなかなか良かった為、かろうじてこの順位(笑)ただし、衣裳・美術チームの1960年代に対する探求心は評価に値するほど華やかで素晴らしい出来になってるので、当時のファッション等に興味がある方は結構楽しめるのでは?個人的にはユアンの七三分けは今後ご遠慮願いたい(苦)

★★
◆ コンフェッション(原題:CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND)
■監督・製作/ジョージ・クルーニー ■脚本/チャーリー・カウフマン
■出演/サム・ロックウェル、ドリュー・バリモア、ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ他
 1960年代米国「これからはテレビが世界を変える」。チャック・バリス(サム・ロックウェル)は富と名声を求め、テレビ局にあらゆる企画を持ち込むが不採用の日々が続く。そんな時、ある男が彼に仕事を持ちかける。それはCIAの工作員として合衆国にとって邪魔な人間を抹殺するというものだった。暗殺者としての訓練を終えた時、テレビ局から企画採用の知らせが届く。昼は売れっ子TVプロデューサー、夜はCIAの工作員と、二重生活を送っていたというチャック・バリスの自伝的作品。
 主演のサム・ロックウェル目当てで観に行った作品だが、「どこまで真実なんだろう?」と、どうしても勘ぐってしまう。みの●んたサンに「私は実はCIAの工作員で33人を闇に葬ってきた」と言われてもにわかには信じがたいのと同じ感覚だ。チャック・バリス氏は現在75歳でご健在。インタビュアーが「スパイだったなんて貴方の妄想でしょ?」と聞けば「どう思おうと君の自由。CIAが例え否定したとしても、秘密工作員との関係を彼らが認めるわけがないだろう?」と答える。そりゃそうだ。すべては本人のみぞ知る、なのか??彼は数々のヒット番組を世に送り出して来たらしいが残念ながら私は一つも観た事がない。だが彼の作品を真似たような番組は日本にも多々あるらしく、「ゴング・ショー」という番組は日本で言う「のど自慢」みたいなモン。劇中には彼と実際に仕事をしていた番組出演者らの証言映像も盛り込まれている。ちなみに本作はジョージ・クルーニーの初監督作。「オーシャンズ11」で共演したブラッド・ピット、マット・デイモンらがカメオ出演しているので是非見つけてみては?

★★
◆ザ・コア(原題:THE CORE)
■監督/ジョン・アミエル ■脚本/ジョン・ロジャース、クーパー・レイン
■出演/アーロン・エッカート、ヒラリー・スワンク、ブルース・グリーンウッド他
 ペースメーカーをつけた人々の突然死。無数の鳩の死骸。制御不能に陥るスペースシャトル。にわかに起こる不可解な現象の正体は地球の中心にある核(コア)の活動停止だった。このままでは地球の磁場は狂い地表は焼き尽くされ、人類は1年で死亡する。残された唯一の方法は遥か地球の中心へと潜り、核爆発によって核を再び動かす事だった。
 状況は多少違うが、ほとんどアルマゲドンの二番煎じ。地球の外(宇宙)へ向かう設定はよくあるが、地球の中へ向かって潜り続けるというのは馴染みが薄いせいか、思わず「オイオイ(-""-;)」と言いたくなるほどかなり無茶な話。アルマゲドンの様にもっと人間クサイドラマ性があっても良かった。どうでも良いが、劇中、世界的に優秀なハッカー役をやったD.J.クオールズの雰囲気が知り合いに似ていて気になって仕方なかった(笑)

★★
◆めぐりあう時間たち(原題:THE HOURS)
■監督/スティーヴン・ダルドリー ■原作/マイケル・カニンガム
■出演/ニコール・キッドマン、メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、エド・ハリス他
 1923年ロンドン郊外で「ダロウェイ夫人」を執筆中の作家、ヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)。1949年ロサンジェルスで「ダロウェイ夫人」を読む妊娠中の主婦、ローラ・ブラウン(ジュリアン・ムーア)。そして2001年ニューヨーク。友人である作家の受賞パーティの準備に追われる編集者クラリッサ・ヴォーン(メリル・ストリープ)。時を超えたそれぞれの時間に生きる3人の女の物語はやがて一つに繋がる―。
 数々の賞に輝いた秀作という事で何となく観に行ったのだが…やはり私の趣味ではなかった(苦)こういう話が一部評論家の間で好まれるのはわかる気がする。とても「上質」なのだ。それが私には退屈(笑)全体的にネガティブでマイナス波動をひしひしと感じる内容も正直好みじゃない。3つの物語がどう繋がっていくのかという展開には興味があり、最後は「なるほど」とも思ったが、同じようにいくつもの物語を最後に一つに紡ぐ手法はQ.タランティーノ映画で散々観ている為、特に今更感心する事もなし。久々の銀幕E.ハリス出演とN.キッドマンのアカデミー主演女優賞受賞は嬉しかった(^_^)
◆第75回アカデミー賞【主演女優賞(ニコール・キッドマン)】受賞

★★
◆ゴーストシップ(原題:GHOST SHIP)
■監督/スティーブ・ベック ■脚本/マーク・ハンロン、ジョン・ポーグ他
■出演/ジュリアナ・マグリース、ガブリエル・バーン、ロン・エルダード他
 1962年、米国に向かったまま消息を断ったアントニア・グラーザ号が40年後に発見された。漂流船の莫大な権利金を目当てに乗船したクルー達は船内に異様なものを感じ取る。唯一の女性モーリーン(ジュリアナ・マグリース)は船内で会った謎の少女から40年前に起こった惨劇と驚愕の事実を知る。
 物語冒頭の惨劇シーンが生々しい。全体的に展開が読めてしまったんだが最後のシーンが未だ理解できず。結局…どういう事??誰か教えて(笑)

★★
◆ギャング・オブ・ニューヨーク(原題:GANGS OF NEW YORK)
■監督/マーティン・スコセッシ ■脚本/ジェイ・コックス、スティーブン・ザイリアン他
■出演/レオナルド・ディカプリオ、キャメロン・ディアス、ダニエル・デイ=ルイス他
 1861年ニューヨーク。縄張り争いを繰り広げる移民同士の抗争により、神父だった父親を目前で殺された少年・アムステルダム。自らも投獄された少年は15年後、父を殺したギャングのボス・ビル(ダニエル・デイ=ルイス)への復讐を誓いこの地に戻ってきた。素性を隠してビルの組織に潜入したアムステルダム(レオナルド・ディカプリオ)は、そこで美しい女スリ(キャメロン・ディアス)と恋におちる。しかし、彼女はビルとも深い関係だった―。
 NY無差別テロの影響で丸1年公開延期された作品。リアルさと情感を出したかった為にCGに頼らず、完全再現させたセットで撮影した事は素晴らしい。が、話がどうも大味すぎる。苦しい愛がテーマなのか復讐劇がテーマなのか、メインとなる核がいまいちハッキリしない。名優ダニエル・デイ=ルイスやリーアム・ニーソンの存在感はなかなかのものなんだが…。

★★
◆ジョニー・イングリッシュ(原題:JOHNNY ENGLISH)
■監督/ピーター・ハウイット ■脚本/ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド
■出演/ローワン・アトキンソン、ナタリ−・インブルーリア、ジョン・マルコヴィッチ他
 英国諜報局のカリスマ・スパイ、エージェント1号が任務に失敗して死亡。さらに腕利きのスパイ達が集まった葬儀で起こった爆弾テロによりエージェントは全員死亡。そこで白羽の矢が立ったのは内勤のジョニー・イングリッシュ(ローワン・アトキンソン)。だが元はと言えば1号の死亡はジョニーのガセネタが原因。葬儀の警備も彼の担当。取りあえず自分の失敗を取り繕う事から始めるジョニーの無謀なスパイ大作戦が始まった。
 重い話や難しい話ばかり観ているとだんだん頭が固くなってきそうなので。ここら辺で少し息抜きに軽い映画を観てみようと鑑賞。主演はMr.ビーン役等のコメディ俳優として有名なローワン・アトキンソン。元々Mr.ビーンの大FANでもある私はそれなりに楽しませてもらった(*^_^*)やっぱり彼のおバカっぷりは見てて楽しい♪少なくともオースティン・パワーズよりは好きだ☆ジョン・マルコヴィッチの訛が凄い。さすが演技派俳優だ!

◆ドリームキャッチャー(原題:DREAMCATCHER)
■監督/ローレンス・カスダン ■脚本/ウィリアム・ゴールドマン、ローレンス・カスダン
■出演/モーガン・フリーマン、トーマス・ジェーン、ジェイソン・リー他
 少年時代、いじめられていた友人を助けた事で不思議な力を手に入れた4人の少年達。だがそれから20年たった今では彼らにとってその力は宝物から重荷へと変わっていった。そんなある日、彼らに起こる不吉な出来事…。それは人類全体を襲う恐ろしい出来事へと発展してゆく。
 原作がスティーブン・キングという事もあり、大いに期待していった分、失望が大きかった。「なんじゃこりゃ…(-""-;)」こういう話だったの?という…。C級ホラーもいいとこ。一体どうした、S.キング!くだらなすぎ(-_-)

◆ダークネス(原題:DARKNESS)
■監督/ジャウマ・バラゲロ ■脚本/ジャウマ・バラゲロ、フェルナンド・デ・フェリペ他
■出演/アンナ・パキン、レナ・オリン、ジャンカルロ・ジャンニーニ他
 9歳の子供7人がスペイン郊外の森で行方不明になり、1人だけ発見された少年には記憶がなかった。その40年後、ある家族がスペイン郊外の家に越してくる。その家族に次々とおこる異変。すべては40年前に起きた子供達の失踪事件と関係していた―。
 ミステリーだと思って観てるとオカルティックな内容に裏切られる。タイトルからして暗いが内容も浅く、何が言いたいの?状態。後味も悪し。怖がらせたいんだろうけど効果音と影だけで誤魔化そうとは…(-_-;)唯一興味を注がれたのはアンナ・パキンの成長ぶり。大人になったなぁ。



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